機動戦士ガンダム プラモデル

　ＭＳは兵器というよりキャラクター、と考える、氏ならではのコンセプトのデザインと言えよう。放映当初の評価はあまり芳しいものではなかったと記憶している。が、昨今の評価は“最も美しいＭＳ”とまで言われるようになった。これは偏にハマーン・カーンというキャラクターと、劇中で使われた印象によるものなのだろう。やはりアニメメカはデザインだけで成立するものではないのだな、と思う。

　前置きが長くなったが、キットはＭＧ屈指の出来だ。独特の曲面構造も見事に成型されている。願わくばこの完成度をサザビーにもお願いしたかった･･･手は可動指と、握り手、開いた手が入っており、どれも良い出来である。中でも開いた手は、開き加減など表情がよく、このキットの完成度アップによく貢献している。肩幅が広いので案外大きい。

　気になる点はほとんどどないのだが、二の腕側の肘関節がボールジョイントになっているが、ここが少しぐらつきやすい。可能ならば瞬接でボール側を太らしてやったほうがいいかもしれない。腿の横にある穴はなんとスライド金型を使用しており、開発側がいかに合わせ目を目立たなくしようとしているか、その挑戦意欲等、開発側の思惑が見て取れて面白い。

　各インナーフレームは、同じ永野氏デザインの“ファイブスターストーリー”のＭＨを思わせるような意匠が取り入れられているが、個人的にこれは少しやりすぎな感はある。だが、そこはほとんど見えないところなので、気になる人は少数派かと思う。

　肩バインダーの成型は見事だが、金型の都合か、縁がいささか厚いものとなっているので、腕に自身がある人はうすうす攻撃をしてみてもいいかも。

　白い外装部分はパール処理が施されているが、素最近知った話だと、キュベレイは実はつや消し白だそうである（ハイライトなんて入れたらダメみたい･･･）

　尚、キュベレイの元ネタはエルメス。その相性であったトンガリ帽子を巧くデザインとして成立させた、なかなか良いデザインである、背中ににその証拠として、L-MESと刻印されている。そういう遊びもまた良し。